世界中で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。現在アメリカでは410万人以上が感染、14万人以上の方々がお亡くなりになりました。アメリカでは3月中旬頃から感染が広がり始め、私が住んでいるカリフォルニア州・オレンジ・カウンティ(OC)では、3月中旬からStay-home-orderが発令されました。それ以降学校はオンライン授業に移行し企業はリモートワークとなり、7月が終わりに近づいた今もほとんど状況は変わっていません。
今回は新型コロナウイルスのパンデミックが広がるにつれてアメリカはどのような対応を行ってきたのかについて注目したいと思います。 アメリカの対応 には日本が見習うべきポイントが数多くあります。
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マスクは必須!マスクをしながら飲み物を飲む!?
半年前までアメリカでマスクをしたら”異質”でした。
日本では多くの人が春夏秋冬マスクをつけているので想像がつきにくいかもしれませんが、アメリカでマスクをしていると「大変な重病に罹っている人」もしくは「強力な伝染病が流行っている」ということを意味し、ちょっとの風邪でマスクなんてしようものなら、人から怪訝な目で見られていました。
実際に私は昨年末の旅行中に風邪かインフルエンザに罹ったので、マスクをしたら、一緒に旅行していたドイツ人の友人に「マスクをするのは本当に重症なときだけだよ」と強く言われました(それでも移すのが嫌でしていましたが)。
そのアメリカ人が、全員マスクをしている。私達からしたらそれが”異質”です。

マスクの着用はCDCのガイドラインの下に自治体が促しています。ただし、マスクの着用についての義務感は地域差があります。私が住んでいるハンティントンビーチ周辺はStay-home-orderについてのプロテストがいち早く始まったところでもあるため、新型コロナウイルスの感染について軽視しているのか、道端を歩いている人でマスクをしている人はほとんどいません。ところが以前にネバダ州・ラスベガスに行った際はほぼ全員が道端でもマスクを着用していました。特に驚いたのは、カジノのスタバでホットティーを飲んでいたところ、カジノのスタッフが近寄ってきてマスクの着用を求められたことです。
「でも、飲み物飲んでいるんだけど」と言うと、
「飲むときにマスクを下げて飲んでね」と返されました。
このように今は、アメリカ人のマスク信仰がものすごいです。
マスクの着用はアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が提唱した新型コロナウイルスの正しい予防法なので、感染を拡大させないための大事な手段です。これを期にマスクの機能を正しく認知して、今後も普及していってほしいなあと思っています。
ソーシャルディスタンスが基本!スーパーマーケットの対応
新型コロナウイルス対策としてはマスクの他に、6フィート以上のソーシャルディスタンスを保つことが推奨されています。アメリカの多くのスーパーマーケット(グローサリーストア)では以下の対策が取られています:
- マスクを着用していない人は入店できない
- 入店する人数が制限されている
- 入店列に6フィート毎に印があり、その印に沿って並ぶ
- アルコール消毒で拭き取られたカートを使用する
- 会計列に6フィート毎に印があり、その印に沿って並ぶ
- エコバッグの持ち込みは禁止。無料で買い物袋を付けてくれる
このため土日の混んでいる時間に行くと入店までに30分以上待つこともあります。

ソーシャルディスタンスを保つための対策の広がりは本当に早かったのが印象的でした。すぐにすべてのストアで6フィートの印が付き、買い物客はそれに従っていました。またアメリカでは環境問題に対する意識が高いため、エコバックの持ち込みが基本で、それ以外で袋をつける場合は有料になります。そのためエコバックの持ち込みを禁止とし無料で買い物袋をつけてくれる対応には徹底ぶりを感じました。日本では逆にコロナ下で買い物袋の有料化がスタートしたので、温度差を感じざるを得ませんでした。

テイクアウトが主流に!レストランの対応
新型コロナウイルスのパンデミックで大きく影響を受けたのはレストランです。ソーシャルディスタンスを保つためにレストランはDine in(席についての食事)の営業が禁止されました。これは日本でも大きな問題になっていましたね。ここでアメリカのレストラン業界がとった対策はテイクアウトです。
ファーストフード店だけでなく、普段テイクアウトを実施していないレストラン、焼肉店などほぼすべてのお店がテイクアウトを実施しています。
テイクアウトの方法もパンデミック対策が徹底されています。注文はアプリやウェブサイトで可能。同時に支払いを完了します。あとはお店に行って受け取るだけです。受け取り方は店内受け取り、デリバリー、カーブサイドピックアップなどのオプションがあります。どの方法を選んでも相手との接触を最低限に済ますことができます。

6月下旬ごろにレストランでのDine-inが再開しました。ソーシャルディスタンスを保つためにとった対策は、お店の外に席を出すことです。室内の閉鎖空間より屋外の方が感染リスクが下がるからという理由のようです。アメリカの景色が一気にヨーロッパのようになりました。一部店舗では店の外にスペースがないために、駐車場スペースにテーブルを出すお店もあるようです。これが結構賑わっています。カリフォルニアの海の近くは涼しいですし、天気もいいので外で食べたら気持ちよさそうだなと思います。
ただ傍から見ていて心配なのは食い逃げです。アメリカでは頻繁に食い逃げがされるらしく、屋外で食事をするような造りになっていないので食い逃げが増えるのではないかと心配しています。ただいまはそれよりも、営業をして得る収入が大切なのでしょう。

働いているときよりも収入が増えた!?手厚い失業者手当
新型コロナウイルスのパンデミックによって世界的に失業者が増えました。アメリカの失業率は4月に14.7%にまでのぼり、数にすると2310万人もの人が失業しました。これは歴史的に最も高い失業率となっています。
アメリカの"unemployment"は何を意味する?
アメリカの”unemployment"には「解雇」と「レイオフ」が含まれます。
「解雇」とは「仕事を失う」こと。リストラというとわかりやすいと思います。
「レイオフ」とは「一時的な失業」を意味します。
ですから、5月以降に失業率が下がっているのは、Re-openの規制が段々と解除されていく中で仕事に戻った人がいるためです。
アメリカ政府がUnemploymentの人々に取った対策は4ヶ月間に渡り週$600(約6万円)の給付金を給付することです。給付が開始された4月から7月末まで月$2400(約24万円)のお金を政府から受け取れるのです。加えて1年間の失業保険も下ります。人によっては働いていたときよりお金を受け取れることになります。またその手当はすぐに口座に振り込まれました。
そしてアメリカ人のお金が入ったら使う!という性格上の故、そのお金を握りしめてレストランに行きます。だからレストラン(テイクアウト)はいつも賑わっていているようです。また5月半ばくらいからはジムやフィットネス用品、アウトドア用品の売上が伸びたという数字もあり、もらったお金を使うことで経済が回っているという印象を受けました。
単純計算して1ヶ月に554億4千万ドルを失業者手当に当てているという計算になります。アメリカってとんでもなくお金があるんだな…!でもそれで経済が回るのであれば思惑通りというところなんでしょうか。
一方で日本は手続きをした人に10万円を給付しましたが、給付までにかなりの時間がかかり未だに受け取れていない人もいるようです。もし同じことが日本でも行われていたら…?アメリカ人と日本人のお金の使い方に差はあれど、経済はまた少し変わっていたかもしれません。
まとめ
アメリカの新型コロナ対応と日本の対応の違いで最も強く感じたことはそのスピード感です。今回のパンデミックで日本政府の改善するべき点がまた新たに浮き彫りになったのではないのでしょうか。日本のニュースでは取り上げられなかったアメリカの対応について知っていただき、日本のみなさんの視野が広がったら嬉しいです。